皆さん、こんにちは。「さまよい人」です。
私は令和3年5月からブログを始めました。訪問者数を確認しても、ほぼ誰にも読んでもらえていない毎日が続いています(涙)。
しかし、今は、誰かに読んでもらうとか読んでもらってその人の役に立つとかいう以前に、とにかく「辞めずに継続する」ということを最大の目標として頑張っています…(笑)
さて今回は、梅田悟司という人が書かれた『言葉にできるは武器になる』という本を紹介します。
ブログのネタを探す中で、それまで文章を続けて書くような機会があまりなかったので感じることがなかった「言葉が出てこない感覚」が強くなりました。
何かいい材料がないかなぁ…と思いながら図書館へ。
館内をブラブラする中で見つけた梅田悟司著『言葉にできるは武器になる』という本。
少し古い本ですが、勉強になることが多かったので、その学びをまとめてみることにしました。
『言葉にできるは武器になる』の著者紹介
この本の奥付には、以下のような著者紹介が掲載されています。
梅田悟司 (うめだ・さとし)
株式会社 電通コピーライター、コンセプター
1979年生まれ。上智大学大学院理工学研究科修了。カンヌ広告賞、レッドドット賞、グッドデザイン賞、観光庁長官表彰など国内外30以上の賞を受ける。CM総合研究所が選ぶコピーライターランキングトップ10に、2014年、2015年と連続で選出される。
直近のコピーライティングに、ジョージア『世界は誰かの仕事でできている。』『この国を、支えるひとを支えたい。』、タウンワーク『その経験は味方だ。』『バイトするなら、タウンワーク。』、ミニストップ『自分にMINIごほうびだっ!』など。また、TBS日曜劇『99.9-刑事専門弁護士-』ではコミュニケーション・ディレクターとして番組宣伝を担当したほか、東北六魂祭の立ち上げなども行っている。
著書に『企画者は3度たくらむ』(日本経済新聞出版社)、『二十年先の未来はいま作られている』(共著、同)など。
横浜市立大学国際都市学系客員研究員。日本デザイン学会正会員。東京コピーライターズクラブ会員。
著者は、電通のコピーライターさんだったんですね。
ちなみに、ウィキペディア(Wikipedia)によれば、2018年に電通を退職し、インクルージョン・ジャパン株式会社に加入したとのことです。
『世界は誰かの仕事でできている。』とか『バイトするなら、タウンワーク。』とか、誰もが知っている有名なコピーを世に送り出した人のようです。
きっとこの業界のトップランナーなのでしょうね。
『言葉にできるは武器になる』の概要
それでは、『言葉にできるは武器になる』という著書の内容を、メモ的に簡単に紹介していきます。
『言葉にできるは武器になる』梅田悟司 日本経済新聞出版社(2016年8月初版)
「内なる言葉」と向き合う
- 言葉で評価される時代
- 伝わり方は人間性の評価につながる
- 【 内なる言葉】 の存在に気づいているか?
- 言葉には2つの種類がある → 「外に向かう言葉」と【 内なる言葉】
- 多くの人が「外に向かう言葉」しか意識できていない
- 【 内なる言葉】で意見を育て、「外に向かう言葉」に変換せよ
- 考えているのではない 頭の中で【 内なる言葉】を発しているのだ
- 【 内なる言葉】 とは、あなたの視点そのものである
- 【 内なる言葉】に幅と奥行きを持たせることが、よく考えることの正体である
- 人を「動かす」ことはできない「動きたくなる」空気を作る
- 最後は「言葉にできる」が武器になる
- 【 内なる言葉】に意識を向け続ける習慣こそが重要である
正しく考えを深める「思考サイクル」
- 言葉は、思考の上澄みに過ぎない
- 気持ちをはっきりと認識できた時、言葉は自然と強くなる
「思考」サイクルで正しく考えを深める
- 人は考えているようで、実は思い出している。
- 頭の中は、過去の様々な出来事や気持ちを覚えている「記憶域」と、新しい物事を考える「思考域」の大きく二つに分けることができる。
- コンピューターで例えるならば、「記憶域」はソフトウェアや情報を保存しておくハードディスクであり、「思考域」はデータ処理を行う CPU の役割を担っている。
- 考えるという行為は、頭を回転させるため「思考域」で行われる。
- しかしながら、コンピューターでいう CPU はそれ単独では機能せず、常にハードディスクと情報のやり取りをしている。
- それと同様に、人は考えている時、自分の記憶と向き合いながら考えてしまっている。
- つまり、考えが全然進んでいないという状態は、「思考域」を使っていると思っていても、実は「記憶域」の中を回遊してしまっている状態。
- では、どのようにしたら考えを前に進める事ができるようになるのか。
答えは簡単。「記憶域」にあるものを一旦外に出して、考えることに集中できる環境を整えれば良い。 - ここで重要なのは、頭で考えていることを誰かに話すことではなく、頭の外に出し自分と切り離すこと。内なる言葉を一旦、強制的に外に出す。
- すると、思考と記憶が切り分けられるため、考えを進めることに集中できるようになる。
- その結果、ふわふわと考えていたことは、実はこういうことだったのか、と気づくことができるようになる。
自分の中に「思考サイクル」をインストールする
- 思考を漠然としたものでなく、内なる言葉と捉える
- 【 内なる言葉】を、俯瞰した目線で観察する
- そして、考えを進めることに集中し、【 内なる言葉】の解像度を上げる
この「思考サイクル」を繰り返すことで、 【 内なる言葉】の語彙力が増えていき、
その結果、 【 内なる言葉】の解像度を上げることが可能になる
内なる言葉を磨く「思考サイクル」
- 第1段階 (アウトプットする ) :頭の中をぐるぐる回っている 【 内なる言葉】を書き出して、形を与える。
その上で、同じ仲間をグループ化し、思考のクセや考えがちな方向を把握する。
すると、自ずと考えが足りない部分が見えてくる。 - 第2段階(拡張する) :第1段階でアウトプットされた思考の断片を材料として考えをさらに拡張させる。
- 第3段階(化学反応させる) :普段の自分では考えないようなことまで、化学反応を起こすことで到達する。
「思考サイクル」の具体的な方法
① 頭にあることを書き出す【アウトプット】
とにかく書き出す。頭が空になると、考える余裕が生まれる。
② 「T 字型思考法」で考えを進める【 連想と進化】
- なぜ? 考えを掘り下げる
- それで? 考えを進める
- 本当に? 考えを戻す
を繰り返す。
③ 同じ仲間を分類する【グルーピング】
横のライン(方向性の幅)と縦のライン(深さ)を意識する。
④ 足りない箇所に気づき、埋める【視点の拡張】
横のラインと縦のラインを増やし、頭の中の解像度を高める。
⑤ 時間をおいてきちんと寝かせる【客観性の確保】
その場から離れることの効力。
数日間の時間を置いて、忘れているようで実は忘れておらず、潜在化している状態の方が、一気に視界が広がることがあるものである。
⑥ 真逆を考える【逆転の発想】
自分の常識は、先入観であると心得る。
「否定としての真逆」、「意味としての真逆」、「人称としての真逆」、以上を用いることで、思考は確実に広がっていく。
⑦ 違う人の視点から考える【複眼思考】
自分という壁から自分自身を解放する。
自分という壁は、大きく以下の6つに分類することができる。
- 自分の可能性を狭めているのは、いつだって自分。
- 「自分との会議時間」を確保する。
- 「いつか」はいつまでもやってこない。
- やる気を行動に変える。
プロが行う「言葉にするプロセス」
- 素材がよければ、味付けは必要最小限でいい。
- 思いをさらけ出すには2つの戦略がある。
(戦略1)言葉の型を知る
(戦略2)思いをさらけ出すための心構えをつくる
戦略1 日本語の「型」を知る = 「 言葉の型」
① たとえる〈比喩・擬人〉
わかりやすい言葉でイメージを共有する。
自分の言葉のタネは、自分の身近に転がっている。
② 繰り返す〈反復〉
最も伝えたいことを短い言葉に落とし込む。
③ ギャップをつくる〈対句〉
強い言葉はギャップから生まれる。
自分の言いたいことの逆を前半に組み合わせる。
④ 言いきる〈断定〉
曇りない言葉で、明確な未来を打ち出す。
断言は人々を導く「旗」になる。
⑤ 感じる言葉を使う〈呼びかけ〉〈誇張・擬態〉
語りかけるように、言葉を紡いでゆく。
戦略2 言葉を生み出す「 心構え」を持つ
① たった一人に伝わればいい〈ターゲッティング〉
みんなに伝えようとする、と誰にも伝わらない。
1人に伝われば、みんなに伝わる。
② 常套句を排除する〈 自分の言葉を豊かにする〉
当事者同士しかわからない「二人の言葉」を活用する。
③ 一文字でも減らす〈 先鋭化〉
削ることで、言いたいことを際立たせる。
④ きちんと書いて口にする〈 リズムの重要性〉
誰もが、文章を「内なる言葉」で読んでいる。
読みにくい言葉は、心に入ってこない。
⑤ 動詞にこだわる〈 文章に躍動感を持たせる〉
動詞には意思が宿る。
⑥ 新しい文脈を作る〈 意味の発明〉
言葉の意味は時代によって変わる。
名前が変われば、意識が変わる。常識が変わる。
⑦ 似て非なる言葉を区別する〈 意味の解像度を上げる〉
単純化することで失われるものがある。
言葉の「意味」の解像度を上げる。
以上、『言葉にできるは武器になる』という本の要旨をメモ的に紹介させて頂きました。
興味を感じた方は、ぜひ原著を読んでみて下さい。きっと新たな気付きがあると思います。
『言葉にできるは武器になる』の学び
この本のキモは、「第1章」の頭の方で書かれている内容にすべて込められていると言っていいと思います。
本書でテーマにしたいのが【内なる言葉】の存在である。自分の中に生まれている【内なる言葉】に幅や奥行を持たせることによって得られる、言葉の重みである。
そう、相手の胸に響く言葉を生み出すために必要なのは、実際に書いたり、話したり、入力したりする「外に向かう言葉」そのものを磨くことではないのだ。……
頭に浮かぶあらゆる感情や考えは、この【内なる言葉】によってもたらされている。
その事実に気が付き、意識を向けることが、あらゆる行動の源泉となる思考を豊かにすることに寄与する。
そして、「今自分が何を考えているのか」「頭の中にどんな内なる言葉が生まれているのか」を正確に把握することで、自然と「外に向かう言葉」は磨かれていく。
その結果、言葉に重みや深さが生まれ、納得感のある言葉を用いることができるようになるのだ。
梅田悟司『言葉にできるは武器になる。』P,22~23
自分の頭の中に浮かぶ「内なる言葉」。
それに意識を向け、それを深め広げていく。
そのことによって初めて、自分から「外に向かう言葉」に魂が宿り、その言葉に重みが出てくるのだ、ということを教えられました。
梅田氏は次のように短くまとめています。
「言葉が意見を伝える道具であるならば、まず、意見を育てる必要がある」 (P,4)
「思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない」(P,6)
一見、当たり前のように見える言葉ですが、言葉を扱うプロの方が辿り着いた結論だからこそ、重みが違います。
技術論に走る前に、まず本質的なところにもっと力を注がないといけないということに改めて思い至った、ということだと思います。
そして、意見を育てるためには 、【内なる言葉】を掘り下げ、磨く。それがとても有効な方法だ。
それがこの本の主題だと言えるでしょう。
マインドフルネスや瞑想の思想ともつながっている感じがしますね。
この本のソデに書かれた文章が、著者の主張を一言で表現しています。
その気持ち、言葉にできる?
どんなに言葉を磨くスキルを学んだところで、自分の気持ちを把握していなければ
強い言葉を生み出すことはできない。考え抜く、整理する、さらけ出す。
梅田悟司『言葉にできるは武器になる。』表紙裏
この一連のプロセスを正しく経ることで、
あなたの言葉は人を導く「旗」になる。
まとめ
- 言葉は意見を伝える道具。スキル以前に、まず意見を育てる必要がある。
- 思考の深化なくして、言葉だけを成長させることはできない。
- 自分の頭の中に浮かぶ【内なる言葉】に意識を向け、それを深め広げていくことによって、自分から「外に向かう言葉」に魂が宿り、その言葉に重みが出てくる。
- 【内なる言葉】を育てることによって「外に向かう言葉」が強くなる。
- どんなに言葉を磨くスキルを学んだところで、自分の気持ちを把握していなければ、強い言葉を生み出すことはできない。
- 考え抜く、整理する、さらけ出す。この一連のプロセスを正しく経ることで、あなたの言葉は人を導く「旗」になる。
いかがでしたか?
「内なる言葉」に着目しそれを展開させる梅田氏の主張。
言葉を扱う第一人者の主張だけに、重みがあり、私はとても勉強になりました。
やっぱり何でも、小手先の技術じゃないんですよね。
本当に磨かないといけないのは、その元。根本なのですね。
「物事の基本」を改めて教えられたような気がしました。
ではでは、今回はこのへんで。
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