皆さん、こんにちは。
ふらふら彷徨う「さまよい人」です。
皆さんは、先のことを考えて不安になったり、過去のこと考えてクヨクヨしたりすることがありますか?
私はしょっちゅうです。
というか、振り返ってみると、日々、先のことや過去のことばかり考えて、思い悩んでいるような気がします。
先案じせず、いつまでも過去のことを悔やまず、「今この時」を生きれらるようになったらどんなにいいだろう…常々そんなことを思って過ごしています。
そんな中、すばらしい本に出会いました。
鈴木祐著『無(最高の状態)』という本です。
【鈴木祐】氏と言えば、『ヤバい集中力』『最高の体調』『科学的な適職』等々のベストセラー本を次々と世に送り出している売れっ子サイエンスライター。
メンタリストDaiGoの論文リサーチャーとしても有名ですね。
私も上記3冊読みましたが、どの本も、抽象的な内容だけじゃなくて、超具体的なノウハウが読者の立場に立ってまとめられていて、勉強になったのはもちろん、読了後、非常に感動したのを覚えています。
そして、今回取り上げる『無(最高の状態)』。
この本も、「最高です‼」
これまで宗教やスピリチュアルの分野で扱っていたような内容のテーマを、神経科学と脳科学の知見を土台にして、非常に読みやすくわかりやすく説明してくれています。
しかも、こういうテクニックを使うと良いよ、という具体的な方法論までつけて。
先のことや過去のことばかり考えて思い悩んでいる方。必読書です。
鈴木祐著『無(最高の状態)』という本すべてを紹介したいところですが、それについては、既に先行サイトが山のようにありますし、私の要約力は力不足。
なので今回は、その中でも特に、第3章「結界」の中のセッティングを整える技法として説明されている「グラウンディング」の部分に絞って紹介させていただきたいと思います。
言わずもがなですが、鈴木祐著『無(最高の状態)』という本は、グラウンディングについて解説した本ではありません。
この本は、無(無我)の状態に至ることによって自らの不安や心配事がクリアになり、自己が生まれ持つポテンシャルを取り戻すことができて最高の状態になれる、ということを解説した本で、「グラウンディング」とは、その中の一つの技法として紹介されているに過ぎません。
しかし、私は、この本全体に深い感銘を受けつつ、その中でも特に、「今ここ」に心を戻すための技法として紹介された「グラウンディング」というものに、取りかかりやすさと現代人への有効性を感じたのでした。
それで、今回、『無(最高の状態)』という本の中ではごくごく一部の内容ですが、取り上げることにした、というわけです。
本文に入る前に、誰がこの記事を書いているか、について簡単に説明します。
私は、新米の天理教教会長です。
親が小規模な天理教教会長をしていた関係でそれを引き継ぎましたが、無口でコミュニケーション苦手。ただ、その分、本は好きで、暇があれば本を読んでいます。
縁あって小規模天理教分教会を担当させていただくことになった関係で、スピリチュアル系・心理学系の本もよく読みます。
この記事を書いたのは、そんな、精神世界に強い関心を抱く無口な中年男です。
前置きが長くなりましが、それでは、以下で紹介していきます。
鈴木祐著『無(最高の状態)』の概要紹介
「グラウンディング」について紹介する前に、この本(鈴木祐『無(最高の状態)』)の概要を紹介させて頂きます。
- 【序章】苦
人類は、脅威に満ちた環境を生き抜くためにネガティブな情報を重要視する必要があって、それが現代人にも引き継がれている(→人類はみな“生まれつきネガティブ″)、ということが説明されています。 - 【第1章】自己
自己が苦しみを生み出すメカニズム=〔真の苦しみ〕は、“二の矢″が刺さるか否かで決まる、ということが説明されています。 - 【第2章】虚構
自己は“物語″で構成されている、そして人類の脳は現実よりも“物語″を重んじる、ということが説明されています。 - 【第3章】結界
自己の克服→無我の境地に至るためには、その前に、まず心に「結界」を張り、心身に安心感を与える必要がある、ということが説明され、そのための技法がいくつか紹介されています。 - 【第4章】悪法
苦しみを生み出す“物語″を作り上げる心の「悪法」18個が説明され、それに対処する方法が紹介されています。 - 【第5章】降伏
悪法への抵抗は苦しみを生み出すだけであり、降伏(受け入れる)ことこそが有益な対処法である、ということが説明され、そのための方法が紹介されています。 - 【第6章】無我
無(最高の状態)に至るためには、自己が作り上げる“物語″の「停止」と「観察」が有効であることが説明され、そのためのトレーニング法が数多く紹介されています。 - 【終章】智慧
真の無我に至った者は、決して世捨て人になるわけではない、自己が消えたことで歪んだ思考と感情のくびきから外れ、理性・共感・判断などの能力が存分に発揮できるようになり、智慧に満ちた行動がとれるようになる、ということが説明されています。
本の要約サイトflier(フライヤー)では、要点を以下のようにまとめて下さっています。
(要点1) 自己は単一の存在ではなく生存用のツールボックスである。
本の要約サイトflier(フライヤー) https://www.flierinc.com/summary/2727
(要点2) 脳は物語の製造機であり、人間は脳が作り出したシミュレーション世界を生きている。また、人間の脳は現実よりも「物語」を重んじるように設計されている。
(要点3) 過去の体験によって生み出される物語は、ときに歪んだ悪法を生み出し、人の行動に影響を与える。
(要点4) 苦しみは、「痛み×抵抗」という式で表せる。現実の痛みに対して積極的に「降伏」することで、苦しみの増大を抑制できる。
\本の要約サイトflier(フライヤー)はとても便利ですよ/
「グラウンディング」は心の結界を張るための技法の一つ
鈴木祐著『無(最高の状態)』という本全体の中で、「グラウンディング」という技法は、第3章「結界」の中に出てきます。
自己の克服→無我の境地に至るためにまず心身に安心感を与える必要あり。安心感のために心に「結界」を張る、その技法の一つとして、「グラウンディング」というテクニックが紹介されている、というわけです。
本書では、心に結界を張るためには「セット」と「セッティング」を整えることが重要だと解説されていて、
《グラウンディングは「セッティング」を整えるための技法の一つ》
として紹介されています。
ちなみに、
- 〔セット〕= 個人の性格、感情、期待、意図などの状態
- 〔セッティング〕= 物理的、社会的、文化的な環境の状態
だそうです。
その他、「セット」を整えるための技法や、グラウディング以外の「セッティング」を整える技法がいくつか紹介されていますが、ここでは割愛します。
「グラウンディング」とは?
では、「グラウンディング」とは何でしょうか?
この本の中では、次のように説明されています。
「グラウンディング」は心理療法の世界で使われるテクニックで、“現在″に心を引き戻すノウハウの総称です。
鈴木祐著『無(最高の状態)』P,132
そもそも「グラウンディング」とは、英語の「GROUND」が由来の言葉で、土台を安定させる意味や、地に足をつける、といった意味合いで使われているようです。
“地に足をつける″というのは、物理的に地面に足をつけるという意味だけでなく、不安定な人生を安定させることや、スピリチュアル的な意味などに拡張した形で捉えることも多いようです。
検索してみると、瞑想の技法としても数多く紹介されています。
「グラウンディング」として公式のやり方や厳しいルールがあるわけではないようですので、「地に足をつける」感覚を意識する、というイメージで問題ないと思われます。
「グラウンディング」の目的
「グラウンディング」の目的について、この本の中では以下のように説明されています。
私たちが苦しみをこじらせるのは、脳が「自己」を起点に未来または過去へとイメージを広げたせいで、ネガティブな感情が増すのが大きな原因でした。人類の悩みが尽きないのは、あなたの意識が“現在″からそれてしまうからです。
そこで、「グラウンディング」では、未来と過去に向かった意識を引き戻すことで、苦しみの減少を試みます。“現在″は未来の不安と過去の失敗が存在しない安全地帯であり、目の前の世界から振り落とされなければそれ以上の災いは起きようがありません。いわば、“現在″を結界に使うわけです。
鈴木祐著『無(最高の状態)』P,132
すなわち、意識が未来や過去に飛んでいってしまっている影響で生じる「苦しみ」を減少させるため、
意識を“現在″に引き戻すことが「グラウンディング」の目的、
というわけですね。
「今ここ」に立ち返ることが目的であり、そのための技法が「グラウンディング」だというわけです。
「グラウンディング」の方法
それでは、この本のなかで紹介されている、「グラウンディング」の具体的な技法について紹介していきましょう。
今回の記事のメインパートです。
【自己解説法】
今の自分の名前、年齢、今いる場所、今していること、次に何をするつもりかを口に出して説明する手法。
「私の名前は〇〇、〇〇歳。今はオフィスにいて、プレゼンの資料を作っている。。このあとは、カフェでランチを食べて‥‥‥」といった具合で、今の状況を淡々と実況する。
(すぐに脳が現在に意識を向け、数分で気持ちが楽になるでしょう)
【54321法】
その名の通り、五感を駆使して行うグラウンディング。
急な不安に襲われたり気持ちがふさいでしまったら、次のステップで“現在″に復帰しましょう。
- いま目に見えるものを5つピックアップします。
「カーペットのシミの色」や「壁の傷」など、まわりを見渡して普段は気づかないものを選んでください。 - 触感で感じられるものを4つピックアップします。
服の肌触り、テーブルの表面の滑らかさなどに意識を向けましょう。 - 耳で聞くことができるものを3つピックアップします。
外を走る車のエンジン音、鳥のさえずりなど、普段は気づかないものを選んでください。 - 鼻で嗅ぐことができるものを2つピックアップします。
室内の香り、松の木の匂い、調理中の食べ物の匂いなどを意識的に味わいましょう。 - 最後に、いま味わうことができるものを1つピックアップします。
飲み物を口にしたり、ガムを嚙んでみたりと、舌の上に起きる感覚を味わってみてください。
グラウンディングの途中で意識がそれても、慌てず五感に戻る作業をくり返しましょう。
意識を戻すたびにあなたの脳は安心感を覚え、ストレス反応が下がります。
【暗算法】
頭の中だけで100から7ずつ引き算を行い、0になるまでくり返す方法。
100、93、86、79‥‥‥のように、できるだけスピーディーに計算を続けてください。
暗算は脳の負荷が高い行為なので、何度も続けるうちに頭の中が計算に占有され、自然と未来や過去から意識をそらしやすくなります。
どの技法も、
思考が「今ここ」に戻ること
を目的にしていることが、よく分かりますね。
以上、鈴木祐著『無(最高の状態)』の中で紹介されている「グラウンディング」の技法を3つ紹介させて頂きました。
どうです?
どれも、すぐ簡単に実践できるノウハウだと思いませんか?
この本に強い感銘を受けたは良いが、では、それを日々の生活でどのように活かすか、という具体的な方法論が問題。
あまり高度な技法だと、なかなか活用が難しい。
しかし、この「グラウンディング」というテクニックなら、簡単そうで、取り組むためのハードルが低そう。
これなら、第一歩踏み出しに臆病な私でも取り組めそうだし、他の人も取り組みやすいんじゃないかな、と思いました。
「今この時」に意識を戻すための有効なテクニックとして、私はこれから活用してみたいと思っています。
ぜひ、みなさんも活用してみてください!
まとめ
- 自己の克服→無我の境地に至るためには、その前に、まず心に「結界」を張り、心身に安心感を与える必要がある。
- そのための技法の一つとして、「グラウンディング」というテクニックがある。
- 「グラウンディング」とは、先案じせず、いつまでも過去のことを悔やまずに生きていくことができるようになるために、「今この時」に意識を戻すための技法のことである。
- 「グラウンディング」の代表的な方法として、【自己解説法】【54321法】【暗算法】がある。
- 【自己解説法】‥‥‥今の自分の名前、年齢、今いる場所、今していること、次に何をするつもりかを口に出して説明する方法。
- 【54321法】‥‥‥視覚・触覚・聴覚・嗅覚・味覚の五感それぞれに意識を向ける方法。
それぞれの各感覚が今ここで感じていることを意識化する。 - 【暗算法】‥‥‥頭の中だけで100から7ずつ引き算を行い、0になるまでくり返す方法。
暗算は脳の負荷が高い行為なので、何度も続けるうちに頭の中が計算に占有され、未来や過去から意識をそらしやすくなる。 - 上記「グラウンディング」によって、過去や未来に飛んでしまっていた意識を“現在″に引き戻す。
- 「今ここ」(現在)に意識を戻すことによって心の不安感を取り除き、最高の状態である「無(無我)」を目指す。
以上、鈴木祐著『無(最高の状態)』の中の、「グラウンディング」という技法について紹介させて頂きました。
冒頭で述べ通り、私は、先のことや過去のことを考えることが多く、思い悩んでばかりです。
今回、「グラウンディング」という技法を学習しましたので、今後は、先案じしたり、いつまでも過去のことを悔やんだりしなくなるように、このテクニックを使って少しでも「今この時」に意識を戻す努力を重ねたいと思います。
皆さんも、「今この時」に立ち返るために、ぜひ、この「グラウンディング」という技法を活用してください!
それにしても、鈴木祐氏の著作は本当に素晴らしい‼
鈴木祐氏の著作を読むと、禅や瞑想のような精神的なお話が、神経科学や脳科学の方面でも研究が進んでいて、科学的な裏付けがどんどん進んでいっていることが分かります。
これからますます、宗教と科学の垣根が取り払われていくのでしょう。
「苦しみ」といった、これまで精神世界が扱ってきたテーマに対しても、今後は、科学面からの効果的なアプローチが期待できそうですね。
そうした歴史の積み重ねを恩恵を少しでも受けられるように、これからも、アンテナを高くして、学ぶ気持ちを忘れないようにしたいと思いました。
ではでは、今回はこのへんで。
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