皆さん、こんにちは。
相も変わらず、右へ左へと彷徨い中の「さまよい人」です。
今回も、新米天理教教会長による「天理教の葬儀」祭儀式についての自己学習シリーズをお届けします。
ということで、今回は、天理教の「告別式」祭儀式について勉強していきます。
「告別式」とは ネット情報~
「みたまうつし」の時と同様に、まずは、「告別式」とは何か、についての一般的知識を抑えておきたいと思います。 以下は、ネットから集めてきた情報です。
葬儀・告別式とは?
【葬儀・告別式とは】
葬儀は人の死を弔うために行われる宗教儀式のことです。葬儀と告別式は現在ではひとくくりとなり混同されがちですが、本来的に葬儀は宗教的な意味合いで行われるもの、告別式は社会的な式典として行われるという違いがあります。
かつて、人々は葬儀の後、墓地のある寺や火葬場まで、列を組んで遺体を送りました。
これを、葬列または野辺送りといい、これに代わって行われるようになったのが現在の告別式です。
そのため、もともと告別式は葬儀後に行われるものでした。では葬儀と告別式は、それぞれどんな意味があるのでしょう。
まず葬儀は、死者をこの世からあの世へと送り出す宗教的な儀式。故人の霊魂のための時間です。
仏教での一般的なお葬式の流れで言えば、僧侶が読経を行っている時間がこれにあたります。
遺族やごく親しい人が中心になって営まれます。次に、告別式は、故人の友人や知り合いが参加する社会的な儀式です。
参列者は、遺族に慰めの言葉を寄せ、ひとりひとりが焼香したり献花をするなどして、故人に最後の別れを告げます。現代では、参列者を長く待たせるのは失礼になるとか、火葬の時刻が決まっているなどの理由で、同時進行させることも多くなってきました。
すなわち、葬儀の最中に参列者の焼香を開始し、短時間でその双方を終わらせようとするのです。
公益社HP 「葬儀・告別式とは」より
しかし本来、遺族が故人への想いに集中すべき時間である葬儀と、参列者への感謝を示したい告別式とは、まったく心の持ちようが違うもの。
そのことをよく認識した上で、もう一度、葬儀・告別式について考えたいものです。
告別式とは?
【告別式とは】
告別式とはその名の通り、別れを告げる儀式です。
葬儀と混同されることが多いですが、亡くなった方をあちら側の世界(宗教・宗派により考え方は異なりますが)へ導き送り出すための宗教儀礼である「葬儀」が、僧侶など司式者が中心となって行うのに対し、告別式は別れを惜しむ参列者のための儀式といった意味合いが強く、喪主が中心となって行います。
日本で最初に告別式を行ったのは、明治時代の思想家である中江兆民だったと言われています。
それまでの葬儀は自宅で通夜を行い、出棺すると寺院や墓地に葬列を組んで向かい、僧侶の読経し引導を渡して埋葬するというのが一般的でした。
ですが、明治30年代当時が葬儀の簡素化や合理化が求められていた時代であり、また中江兆民本人が宗教色を排除した無宗教葬を強く希望していたこともあって、遺族や友人が宗教色のない儀礼を考案し、これが日本で最初の「告別式」となりました。最初はかなり物議を醸し批判もあったようですが、昭和に入り都市化が進むにつれ葬列を組む葬儀は次第に廃れていき、一般大衆の葬儀でも告別式が行われるようになっていきました。
(株)サン・ライフHP 「告別式とは?」より
葬儀と告別式の違いとは?
【葬儀と告別式の違いとは】
現代ではほとんど「葬儀・告別式」と並列して表記され、同時進行で行われることが多いですが、本来の意味合いはそれぞれ異なります。
葬儀とは宗教的な儀礼儀式であり、告別式は社会的な別れの儀式です。
一般的な仏式の葬儀の流れを例に挙げると、僧侶の読経、引導作法、戒名授与など焼香前の儀式が「葬儀」であり、親族や一般会葬者の焼香や出棺前の献花が告別式です。
(株)サン・ライフHP 「告別式とは?」より
読経中に焼香をすることが多くなり、葬儀と告別式が混同されがちですが、明確な意味合いの違いがあるのです。
告別式に参列できる人とは?
【告別式に参列できる人とは】
お通夜は友人知人が参列するもの、葬儀告別式は遺族親族が参列するものという感覚を持っている方も多いようですが、告別式は前述のように社会的なお別れの儀式ですので、遺族親族に限らず誰でも参列できます。
通夜に一般参列者が多いのは、こうした不幸ごとは突発的に発生するものなので、仕事や先約を片付けてからでも間に合うからという都合によるものと思われます。
家族や親族は喪主とともに協力して通夜から告別式を執り行う立場なので、告別式にはもちろん参列しますが、遠縁であっても普段あまり交流がなかったとしても可能な限り参列します。
また、友人の中でも特に親しくしていた方や、職場であれば直属の上司や部下、代表者など可能な範囲で参列するのが望ましいです。
(株)サン・ライフHP 「告別式とは?」より
天理教の「告別式」
葬儀と告別式の違いなんて、これまで全然意識せずに、何となく一緒くたにしてしまっていましたが、こうやって調べてみることで、それぞれの意味を改めて認識することができますね。
勉強になります。
…では、ここからは、天理教の「告別式」について勉強していくことと致しましょう。
天理教の告別式について
- 正式には、「発葬の儀」を家で勤め、そして、葬儀の式場に場所を移して「葬場の儀式」を勤め、それから「埋葬」あるいは「火葬」に付す。
- 告別式の場合には、この「発葬の儀」がないので、「葬場の儀」を家で勤める。これを、告別式という。
- 一般では、大体告別式で葬儀を済ませるのが通例。亡骸とお別れをする式。
※発葬の儀、葬場の儀(告別式)の式場で、柩の左側に新霊がお祀りしてある場合に、新霊の方(左)を上として作法された事もあったが、これはやはり右を上として作法するようにする。
葬場の儀(告別式)
準備
- 式場の正面に棺台の上に納棺をした亡骸を安置し、その前に、二段ないし三段の献饌案を置く。
- その献饌案の中央に故人の写真を据え、その写真の前にお灯明を一燈点ける。通常、このお明かりは、油を使った燈芯を使う。
- 新たにお鎮めした御霊様の方は、横でも、あるいは別室に置いてもよい。新御霊のお灯明3燈は、電灯でもよい。
※亡骸とお別れする式であるから、亡骸を主体に考える。 - 柩の左右に、榊、生け花等を飾る。
- 墓標、名旗は柩の後ろ横に立てる。無ければ立てなくてもよい。その他の装飾物は斎場の内外へ立て並べる。
- 門口に、黒幕または鯨幕を張る。
- 式場に、戸帳、黒幕、または鯨幕を張る。
- 斎員の席を設ける。
- 諄辞(誄詞、告別詞)を用意する。
※誄詞(るいし)……しのびのことば。 生まれ出て、出直すまでの故人の生涯を思い起こし、生前中の御徳、業績を偲ぶ言葉。
※葬場詞……あるいは告別詞。 故人の出直しは悲しき極みであるが、葬儀を執り行い、別れを告げることば。 - 玉串、調饌 及び 葬具の用意をする。
- 参列者の場所を設ける。
- 喪章、洋服の場合は喪章を付ける。喪服でない和服の場合、胸に喪章を付けることもある。
- 献饌は、当日の朝に、先に済ませておいても構わない。その場合には、準備の人の手でお供えをする。
斎員
- 斎主、副斎主、典礼、祓主、後取2名、装束師2名。
※大麻〔祓師〕は、葬場祭には加わらない。
服装
- 重服(重服が無い場合は浄衣)。 喪主服。
※葬場の儀(告別式)は、亡骸とお別れする式であるので、覆面は使用しない。
式次第
- 喪主、家族、親族、その他の参列者が順次着席。
斎主、斎員 入場着席
- 斎主以下斎員一同、着席する。
【着席順序】……①斎主 ②副斎主 ③祓主 ④後取2名 ⑤典礼 ⑥装束師2名
※着座要領……最初に新御霊様に礼拝する。その後、着座。一揖。
献饌
- 着座が終わったならば、典礼が、副斎主に対して気色。
- その後、献饌を行う。
※覆面は不要。
※正式には献饌を行うのが手順だが、式の前に献饌を済ませておくこともある。
「誄詞」(しのびことば)奏上
- 装束師が「誄詞」を後取(諄辞後取)にすすめる。
(装束師がいない場合には、後取(諄辞後取)が「誄詞」を二つ折りにして、前もって懐に入れておく) - 副斎主と後取(諄辞後取)が正面に出て、副斎主が「誄詞」を奏上する。
(もう一人の後取(玉串後取)は、出笏をしないで小拝) - 装束師が「誄詞」を後取(諄辞後取)より受け取る。
(装束師がいない場合は、後取(諄辞後取)の懐に入れたまま)
※誄詞を告別詞の中に入れてしまって省く場合もある。
その場合は、「誄詞」+「葬場詞」→「葬場斎詞」。 あるいは、「誄詞」+「告別詞」→「告別祓詞」、という。
斎主、「玉串奉献」「告別詞」奏上
- 斎主の玉串奉献、告別詞奏上の準備のために、装束師が正面に玉串案を据える。
- そして、一人の装束師が「玉串」を、もう一人の装束師が「告別詞」を、後取(玉串後取&諄辞後取)にすすめる。
(装束師がいない場合は、後取が取りに行く) - 典礼が、斎主に足して気色。
- 斎主と後取(玉串後取+諄辞後取)が正面に出て、斎主が、玉串奉献、告別詞奏上を行う。
(告別詞奏上中、諄辞後取は出笏せず小拝する) - 終了後、斎主 2拝 4拍手 礼拝 4拍手 1拝 をして、膝退、立座。2歩退がり立拝。自席に復す。
- 装束師、「告別詞」を後取より受け取る。
(装束師がいない場合は、諄辞後取が置きに行く)
斎員 列拝
- 典礼が、副斎主に対して気色。
- 副斎主以下、斎員が列拝する。
(装束師、伶人も、共に礼拝する) - 終了後、復席する。
喪主、家族、親族、参列者 玉串奉献
- 装束師が、玉串をお供えするための案を据える。
- 装束師が、斎壇下に座り、玉串を順次参列者に渡す。
(装束師がいない場合は、後取がする) - 参列者が、順次、玉串を奉献する。
※参列者の玉串奉献の順番は、喪主、家族、親族… と、それは適時考えて頂いたらよい。
※弔辞を奉読する方には、玉串を献じて、引き続きお願いする。
※参列者が多く、一般玉串を式場の入口で別に行う場合は、親族の玉串奉献が始まる頃に、案を出して、もう一人の装束師あるいは後取が渡すようにする。
弔電披露
- 一般の玉串奉献が終われば、弔電の披露がある。
- これは、準備の進行係が正面で弔電を拝読するが、お道では、「亡骸」に対して玉串を献じ弔電を披露するのであるから、役職名、肩書などを皆に広告するような仕方をしない方が望ましい。
- だから、弔電披露の時にも、代表になる人2~3通を電文と発信者の名前を読ませて頂いて、それ以外は「以下、何通の弔電を頂いております」と告げたらよい。
- そして、弔電拝読後は、装束師あるいは後取が、弔電を玉串案に載せ、発信された人に代わり礼拝をする。
撤饌
- 出棺をしなければならないので、撤饌をする。
- そのために、お供えされた玉串(斎主玉串は、串筒から抜き、案の上に横たえて運んでもよい)、案、弔電等を、装束師(装束師がいない場合は後取)が撤去する。
- 典礼が、副斎主に対して気色。
- 副斎主以下 斎員により、撤饌(斎主、典礼は加わらない)を行う。
- 撤饌が終われば、喪主 または葬儀委員長が立ち上がり、御会葬頂いた方々に挨拶をする。
- 場合によっては、出棺の時に、霊柩車が出発する直前に挨拶をされても、また2回挨拶をされてもよい。
斎主、斎員 退手退場
- 撤饌が終わったならば、斎主 斎員が退手(2拍手1揖)する。
- 典礼が、斎主に向かって気色。
- 斎主から順に(正面で座拝せずに)退場し、御霊様に礼拝をして退がる。
出棺
- 斎壇に誰もいなくなったら、準備の人の手により、まず斎壇を取り除く。
- 柩を前に出してきて、台の上に柩を置く。
- 柩の蓋を取り、家族親族が、その周囲からお別れをする。斎壇にある花を適当に柩の中に入れて、最後のお別れをする。(その間、斎員は控室で待機。)
- お別れが済んだならば、柩のどちらに頭があるか確認してから、蓋を釘で打ちつけ、再び柩覆いを掛け、それを身内の者によって霊柩車に積み込む。
- この時点で、斎官が出ていき、出発するのをお見送りする。一般会葬者は外に出て柩を見送る。
- そして、火葬場または墓地へ向かう。
- その際の【葬列の順序】
①斎員2名(通常は、副斎主、または斎主。それに後取1名) および葬儀委員
②霊柩、喪主
③家族、親族その他
以上で、告別式は終了となる。
火葬の儀(埋葬の儀)
告別式の後、火葬の時には「火葬詞」、埋葬の時には「埋葬詞」を奏上し、会葬者に玉串を供えて頂く「火葬の儀」or「埋葬の儀」がある。
火葬場あるいは埋葬場へは、斎員全員が行く必要はない。
- 斎主、玉串奉献、火葬詞(埋葬詞)奏上、および礼拝(2拝 4拍手 礼拝 4拍手 1拝 )。
- 家族、親族の玉串奉献、および礼拝。
葬後祓
- 出棺したら、大麻〔祓師〕が、式場、および各室を祓い清める。
(※式場は、右上より右回りで四隅を祓い清める。
各室、小さい部屋は、部屋の入口に立って祓い清める。) - そして、葬場より帰って来る人々を 門前で、祓い清める。
- 葬後霊祭の献饌を前もってする場合は、お供え物も共に祓っておく。
※「祓主」と「大麻 〔祓師〕 」の斎官が別々になっている場合には、「大麻 〔祓師〕 」は、式には加わらず平服で参列して、そして、後の祓(はらい)だけをする。
【大麻 〔祓師〕 が式に加わらない理由】……全員穢れてしまうと清める人がいなくなってしまうので、役に入らず別に居て、穢れを受けないようにする、という神道の考え方による)
以上、天理教の「告別式」についてまとめてみました。
内容は、今回も前回同様、天理教教会本部祭儀委員会編集『おつとめ及び祭儀式』、郡山大教会布教部作成『葬儀に関する資料』を参考にしました。
注意深く資料をまとめたつもりですが、もしかしたら私の読み間違いや勘違い等で間違えている部分があるかもしれません。
気付いたら適宜修正していきたいと思っておりますので、ご了承願います。
次回は、「告別式」の後の「葬後霊祭・五十日祭・合祀祭」について紹介したいと思います。
ではでは、今回はこのへんで。
コメント